2018年

12月

16日

平成31年税制改正大綱 空き家税制

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例が、老人ホーム等に入所したことにより居住の用に供されなくなった家屋及びその敷地の用に供されていた土地等は、一定の要件を満たす場合に限り、3,000万の特別控除の適用が可能となります。

 

現行制度は、平成31年12月31日まででしたが、4年延長されることになりました。

改正は、平成31年4月1日以後に行う譲渡から適用です。

               

現行制度の要件に加え、下記要件が追加となります。

 

(1)被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと。

                          

(2)被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。                             

       

            

<現行制度のおさらい>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を譲渡し、一定の要件に該当するときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

                    

<一定の要件>

1) 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋・土地等であること。  

2) 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

3) 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

4) 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

5) 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

6) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

7) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

8) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

9) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

10) 売却代金が1億円以下であること。 

11) 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

12) 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

13) 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。(特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。)  

 

 

 

 

         

 

2018年

12月

14日

配偶者控除

年末調整の時期ですね。 

 

年末調整の資料をもらって初めて、配偶者控除が、平成30年度から改正されていることに気づいたサラリーマンの方も多いのではないでしょうか。

 

用紙が1枚増えましたね。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」

 

今までは103万円の壁でしたが、150万の壁になりました。

配偶者の給与収入が150万以下であれば、「配偶者控除 38万円」または「配偶者特別控除 38万」の所得控除が可能です。

 

そして、150万超201万未満の場合は、控除額は減りますが「配偶者特別控除」が控除可能です。

 

ただし、控除を受ける本人の給与収入が、1120万を超えると控除額が減ります。

1220万を超えてしまうと、控除額は0円です。

 

年収が1220万超の場合、税率が高いので、10万以上の増税となるのではないでしょうか。

 

そのうえ、年収1000万超の人は、「給与所得控除額」が220万で固定されています。さらに、平成32年からは、年収850万超の場合は195万で固定です。

 

年収が高い人は、増税の傾向です。

しかし、、850万で増税というのは少々やりすぎの気がします。

 

結構な人数が対象となるのでは。

 

他の所得控除を利用するなり、起業するなりした方が良さそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年

4月

24日

2つの投資促進税制

 投資促進税制には2種類あります。

 

中小企業投資促進税制」 と 「生産性向上設備投資促進税制」 です。

  

この2つは、一定の資産を取得した場合に、”特別償却” or ”税額控除” の選択適用が出来ますよ。

という制度である点では同じですが、対象資産や要件、税額控除の繰越の可否などで違う部分があります。

 

中小企業投資促進税制

(要件)

  1. 青色申告法人
  2. 中小企業者等
  3. 平成29年3月31日までに下記資産を取得または製造して、事業の用に供すること
  4. この制度が適用される資産(新品に限る)

(具体的な効果)

 ※税額控除は法人税額の20%を限度(限度額を超える金額は1年間に限り繰越可能

中小企業投資促進税制の上乗せ制度

中小企業投資促進税制の対象となる資産のうち、特定生産性向上設備等に該当する資産の場合は、特別償却と税額控除について上乗せ措置があります。

上乗せ部分の数字は下記。

生産性向上設備投資促進税制

(要件)

  1. 青色申告法人
  2. 大企業もOK
  3. 平成29年3月31日までに下記資産を取得または製造して、事業の用に供すること
  4. この制度を利用できる資産は下記の資産であること(新品に限る)
  5. A類型またはB類型の設備であること

(具体的な効果)

 ※税額控除は法人税額の20%を限度(限度額を超える金額は繰越出来ません

2015年

4月

24日

設備投資をした場合に受けられる制度

 

設備投資をして受けられる制度に、

 

「投資促進税制」 と 「補助金」 があります。

 

「投資促進税制」には2つの種類があり、どちらを適用すべきか悩むところです。

 

「投資促進税制」は、割合は違いますが2つとも、”特別償却” or ”税額控除” の選択方式となっています。

 

”特別償却”とは本来は法定耐用年数で減価償却すべきところ、購入年度に特別に大きな金額の減価償却費を経費として計上できますよ。 という制度です。 

場合によっては、即時償却=つまり、初年度に全額経費と出来る場合もあります。

 

”税額控除”とは、取得価額に対する一定の割合を、納付すべき法人税額または所得税額から控除できますよ。

という制度です。

ただし、法人税額(所得税額)の20%までしか控除出来ないので、全額控除出来ない場合もあります。

その場合の余った控除額は、制度により、翌年度に限り繰越出来る場合と出来ない場合があります。

 

「補助金」と「投資促進税制」の併用も原則可能ですが、補助金側の用件として、併用禁止の場合もありますので、有利判定をしたうえで、適用する制度を決めた方が良いでしょう。

 

一見、上限のない特別償却の方が有利な気がしますが、特別償却は「課税の繰り延べ」です。

 

購入初年度に、多くの減価償却費を計上するということは、翌年度以降の減価償却費が減少するということです。

つまり、購入初年度の利益は減るが、翌年以降の利益は通常よりも少し増えるので、「課税の繰り延べ」と言われています。

 

対して、税額控除は、税額から控除できるので、毎年コンスタントに利益が出ている会社の場合は税額控除の方が納付する税額は減ります。

しかし、設備投資をした年度は資金繰りが厳しい場合などは、特別償却して購入初年度の納付税額を抑えるという方が良いでしょう。

 

これら制度の具体的な要件等については、次回書きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年

1月

29日

開業年度の確定申告

皆さん、こんにちは。

税理士、ファイナンシャルプランナーの松島由紀子です。



今日は開業年度の確定申告について。

個人と法人、基本的には同じなのですが、本日は個人のお話をメインにします。



開業年度は何かと経費がかりますね。

開業準備のための出費も結構かかりますよね。


開業日前に出費した経費はどうなるのか?


開業前の経費は、「開業費」という資産になります。

(法人の場合は、創立費と開業費)


「開業費」は、5年間の均等償却をするか、任意償却をすることが出来ます。


つまり、一度「開業費」という資産にするけど、

5年間に分けて償却費として経費にするか、もしくは、

好きなときに、好きな金額を償却費として経費にするかです。これは、法人も同じです。


開業年度から利益が出ている人は、開業年度に全額償却。

赤字の方は、黒字になるまで償却しない。


と、いう選択が出来るということですね。


全額を償却して赤字にして、損失の3年間の繰越しをしても良いですが、損失の繰越しは3年で終わります。

(法人は9年)


しかし、「開業費」の任意償却には期限はありません。


ただ、3年以上赤字だと、生活出来てない可能性がありますから、現実的には、3年を越えて赤字ということは少ないかもしれません。(法人はあり得ます)


まぁ、損益と資金繰りは違いますから、

業種によっては、あり得る話ですが。


あともう1つ。


開業準備の出費も、開業後の出費も共通のお話ですが、

10万円以上の物を購入したときは注意です。


10万円~20万円未満のもの

     原則…一括償却資産として資産計上して、3年間で均等償却


     特例…明細保存または決算書の摘要記入を要件に経費に出来ます。

                ただし、中小企業者の青色申告者のみ。


20万円~30万円未満のもの

     原則…器具備品などの固定資産として資産計上して、

                  法定耐用年数により減価償却


      特例…明細保存または決算書の摘要記入を要件に経費に出来ます。ただし、中小企業者の青色申告者のみ。


30万円以上

      器具備品などの固定資産として資産計上して、

      法定耐用年数により減価償却



上記特例は、租税特別措置法の期間限定なので、今後はなくなる可能性もあります。現時点では、平成28年3月31日までに取得したものに適用できます。

(措置法28条の2、67条の5)




2015年

1月

14日

株式の譲渡や配当は申告すべきか?

皆さん、こんにちは。
税理士、ファイナンシャルプランナーの松島由紀子です。


正月ムードもすっかり無くなった1月の中旬。

徐々に確定申告の資料が集まりつつあります。

今回の申告で思うのは…


皆さん株で儲けてますね。
今のところ、儲け話しか聞いてません。

そこで、今回は、確定申告ネタpart3

「株式の譲渡、配当は申告すべきか?」

ここ最近、金融税制の一本化に向けて税制改正されてますよね。

 以前は出来なかった、配当と譲渡の損益通算も可能となっています。

昨年は、株式の譲渡で損失を出したという話を結構聞きました。

損失も繰越し出来るので、配当と損益通算して、さらに損失の繰越しをした人も多かったのではないでしょうか?

しかし、安易に確定申告をすると、国民健康保険料が大幅に増えてしまうかもしれません。

特定口座であるかどうかにかかわらず、損失の繰越は確定申告が必要です。

損失の繰越をする年は、損失な訳ですから、国民健康保険料には影響しません。
しかし、翌年が問題です。

例えば今年、株式の譲渡で儲けたので、
昨年の損失と相殺するために確定申告をするとしましょう。

昨年から繰越した損失以上の利益が出てますと、
その出た利益分にも国民健康保険料が、上乗せでかかります。

それを回避するには、全ての證券口座を、
「特定口座の源泉徴収有り」にしておき、
繰越した損失と相殺する口座を選択して確定申告すると良いですね

ただし、会社員など社会保険に加入している方は
株式の譲渡益は、社会保険に影響しないので、
確定申告の有利不利は、単純に所得税と住民税の税率と、株式の譲渡益の税率20%を比較して判断すれば良いと思います。
もちろん、配当控除も考慮して下さいね。

国民健康保険料の課税ベースについては、
各自治体によって違うので、必ずお住まいの市区町村に確認してください。

※大田区は、譲渡損失控除後の所得が課税ベースです。

(大田区国民健康保険条例第15条、地方税法附則第35条の2の6)

2014年

8月

05日

メリットがなくなった白色申告

個人事業主の方で青色申告をしていない方は意外と多いのですね。

記帳義務はないし、帳簿の保存もしなくて良いし、
楽だからという理由で白色申告している方は多いと思いますが、
平成26年1月からは、そんな白色のメリットもなくなったのをご存知ですか?

税務署からお知らせが来ているとは思いますが、
お知らせが届いて初めて知った!
という人も多いのではないでしょうか。

今までは、前年又は前々年の所得(年商ではありません。収入-経費)が
300万円以下の人は、記帳や帳簿の保存義務はありませんでした。

しかし、これからは、
全ての人が、記帳と帳簿の保存が必要となります。

これは平成23年度の税制改正項目ですが、
そもそも何故改正されたのでしょう?

今までは、
青色申告者については、税務署は、
更正や決定(税額違う場合や申告してない場合などの処分)をする時は、
その通知書に「理由附記」しなければなりませんでした。

つまり、

「あなたの申告した税額は違いますよ。これが正しい金額です。」

というだけではダメで、

「何故違うのか、何が違うのか、帳簿にはこう書いてあるが、それは××な理由で間違いです。」

と、理由を書かなければなりません。

これは、記帳と帳簿の保存義務がある青色申告者のみに認められていた特典でした。

白色申告者には、税務署は、
更正や決定をしても理由附記は必要ありませんでした。

たいていは、推定課税
「だいたい、あなたの業種だと、このぐらいの利益だから、税額はこうです」
と推測で税額を計算されます。
証拠書類が揃ってないので、基本的に税務署の言いなりです。逆らえません。

しかし、改正により、
全ての人に理由附記をすることになったのです。

だから、白色申告者も、記帳と帳簿の保存をしてもらおうという改正なのです。

どうせ記帳して帳簿保存するなら、
青色申告をした方が良いですよね。

青色申告にも二通りあります。
簡易な帳簿でもOKな10万円控除と、
複式簿記の65万円控除と。

いま白色申告の方は、
取り合えず、簡易な青色申告から始めてみませんか?

青色の届出は、26年度の期限は過ぎてしまいましたが、
平成27年3月15日までに提出すれば、27年から青色になります(^-^)
ただし、新たに事業を開始した人は、開業後2ヶ月以内に提出すれば平成26年から適用出来ます

2013年

5月

23日

競馬の払戻金脱税事件の判決が出ました。

以前このブログblog
でも取り上げましたが、
競馬の払戻金の所得税脱税事件の最終的な判決が本日出ましたね。


脱税に関しては有罪。
しかし、ハズレ馬券の購入費用も経費として認めるという判決になってます。

これにより、脱税額が大幅に減額。
5000万の納税となりました。

それでも払うの大変そう…

脱税すると、延滞税や無申告加算税が課税されるので
脱税した税額よりも増えてしまうんです。

今回は、数年間の競馬による利益が1億4000万なのに
追徴課税額が、10億と言われたとか。


さすがに、裁判官もこれは憲法上でも問題ありと判断したのか、
本来、一時所得である競馬の払戻金は、
下記の理由により雑所得に。

そして、外れ馬券も経費を認めた。

ただし、

雑所得だから外れ馬券も経費と認めたのか、

もしくは、

一時所得でも、外れ馬券を経費と認めるという事なのか

ニュースで取り上げられている情報からは読み取れません。

今後、国税庁から通達なりが出てくるかと思いますので注目したいと思います。


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馬券の所得を一般的に「一時所得」とした上で、「元会社員は多数、多額、 機械的、網羅的に馬券を購入しており、雑所得に当たる」と認定した。

「馬券の払戻金は偶発的、偶然に入り、継続性は認められず、一時所 得に当たる」とした。
しかし、「元会社員は無差別に一定の条件で網羅的に購入し、 多額の利益を得ていた。元会社員は娯楽ではなく、資産運用の一種ととらえていた」 と指摘、外国為替証拠金取引(FX)などと同じ雑所得に分類した。

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http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e040151000c.html

2012年

9月

10日

離婚による財産分与

 

 

財産分与を現金でする場合は贈与税の対象外

ただし、土地、建物、ゴルフ会員権、株式の財産分与は譲渡所得課税(時価取引)

(譲渡側に課税される)

 

慰謝料も非課税

ただし、慰謝料を土地、建物、ゴルフ会員権、株式等で支払ったら譲渡所得課税

(譲渡側に課税される)

 

 

財産分与は、「財産分与請求権」の回収である。

 

民法768条(財産分与)

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

 

財産分与請求権の消滅という経済的利益を対価とする譲渡とされ、

贈与にはあたりませんが、所得税がかかります。

 

財産分与又は慰謝料として自宅を相手に渡すケースは良くありますよね。

 

しかし、不動産による財産分与又は慰謝料は、財産分与する側の譲渡所得となってしまいます。

たとえば、夫が妻に自宅を財産分与する場合は、夫が譲渡所得として課税され、

所得税を納めることになります。

譲渡代金もらってないのに所得税がかかります。

 

離婚時の時価で譲渡したとして課税されてしまうのです。

ちなみに、3000万の特別控除の適用は受けられません。売却相手が親族だからです。

 

自宅を取られた上に、税金負担・・ 踏んだり蹴ったり!?自業自得!?

それはともかく・・

 

自宅を財産分与又は慰謝料とする場合に、税金を払わない方法はないのだろうか?

 

あります。

 

(方法1) 離婚する前に「配偶者控除」を適用して贈与する

       婚姻期間20年以上の夫婦に限る。2000万円+110万の非課税が受けられる

       

(方法2) 離婚した後に相手に売却する

       居住用の3000万の特別控除を適用する。

       10年以上所有してるなら軽減税率の適用もある。

 

(方法3) 離婚する前に売却して、現金で財産分与

       居住用の3000万の特別控除を適用する。

       10年以上所有してるなら軽減税率の適用もある。

       現金で財産分与を受けた相手方は、そのお金で他を買う。

 

 

ちなみに、最近は籍は入れていないが同居しているという内縁関係が増えています。

内縁関係である妻または夫の法律関係はどうなっているのでしょうか。

 

〇民法では、内縁関係の妻(夫)も含む

〇税法では、内縁関係の妻(夫)は除く

〇相続の権利も内縁関係の妻(夫)にはない

 

 

 

2012年

8月

08日

サラリーマンの必要経費

 

サラ―リマンの共通の悩み。

それは、いくら給与が増えても税金や社会保険で手取りが減ってしまう。

ということ。

 

サラリーマンの税金を計算する際、サラリーマンの必要経費と言われる「給与所得控除額」

というものが給与から控除されています。

 

これは、事業主は事業に使った経費を売上から控除出きるのに、

サラリーマンが出来ないのはおかしい。

という趣旨ですね。

 

給与-給与所得控除額-所得控除額  × 税率

 

 

事業をやっている人は、次の算式です。

 

売上-経費 - 所得控除額  × 税率

 

 

サラリーマンですから、仕事で使うものは、たいてい会社が出してくれるとは思いますが、

いまの時代、会社もできる限り経費を削減しようとしています。

 

それで仕方なく、給与から仕事関連のものを買ったり、

支払ったりしている場合もあるのではないでしょうか?

 

私なんかは会計事務所ですから、勉強は常に必要です。

 

特に書籍代やセミナー代、税理士になるための学校の費用、たいてい私服なので仕事用の服も必要です。

 

税理士になるための自分への投資ですから、当たり前のように給与から払ってきました。

 

税金を課せられた後の給与から払っているのです。

 

おかしいと思いますよね?

同じ経費なのに、サラリーマンは税金が貸された後の給与から払うのですから。

 

 

「給与所得控除額」

これは結構大きな金額です。

 

たいてい自腹で払った経費よりも、給与所得控除額の方が高くなります。

 

しかし、「給与所得控除額」以上に支払うこともあるだろう。

ということで、

「給与所得者の特定支出控除」という制度があります。

 

これは、自腹で払った経費が給与所得控除額よりも多かったら、その多かった部分も控除して

税金を計算しても良いですよ。

 

という制度。

 

自腹経費 - 給与所得控除額 = 追加で控除できる金額(A

 

 

給与-給与所得控除額-A - 所得控除額  ×  税率

 

 

 

この制度が平成24年の税制改正で、緩和されています。

(平成25年1月1日から適用)

 

給与所得控除額は、金額が結構大きいのです。

だから、自腹経費が給与所得控除額を越えることは、あまりありません。

 

だから、改正しましょうよ となりました。

どう改正されたか?

 

自腹経費 - 給与所得控除額×1/2 = 追加で控除できる金額(A

      (年収1500万超の人は125万)

 

となりました。

 

自腹で払った経費が給与所得控除額の半分以上なら、その半分を越える部分を控除して良いとなったのです。(年収1500万以下の場合)

 

さらに、税理士、公認会計士などの資格取得のための費用は、改正前は対象外でした。

 

これが対象になっています。

 

もう少し早く改正してもらいたかったが…

 

 

しかし、この制度

改正で緩和されたとはいえ、

「給与所得控除額」自体が金額高めなので、その半分とはいえ、

それを上回る自腹経費をサラリーマンが出すでしょうか・・・

 

 

年収

給与所得控除額

× 1/2

300

108

54

400

134

67

500

154

77

600

174

87

 

控除できる経費の範囲を見てみましょう。

 

    通勤費

    転居費(転勤等による場合)

    研修費

    資格取得費

    帰宅旅費(転勤先からの帰宅旅費)

    勤務必要経費(65万円を限度)

 ・職務と関連のある書籍代等(電子書籍含む)

 ・職場着用の服代

 ・職務に必要な交際費

 

転勤による引越し代や帰宅旅費、研修代、服代、交際費、資格取得費などが、

 1年間に集中して発生した場合は、給与所得控除額×1/2 を超えるかもしれませんが・・

 

それも、勤務必要経費(書籍代、交際費、服代)は会社の証明が必要ですし、

資格取得費用も仕事に直接関係がないと適用できません。

 

会計事務所で船舶免許とか取ってもダメということですね。

離島にいる顧客がいるなら別ですが…

 

 

ちなみに、税理士の会費は対象外だそうです。

税理士の会費だけがNGという訳ではなく、政治連盟の会費もNG

これは、民主党が提案したのだけど、自民党が反対して対象外になったらしいです。

 

政治家が会費を控除して税金減らす可能性を無くしたということらしいです。

 

でも、税理士の会費まで一緒にしないで欲しかった…

 

もっとも、私は開業税理士ですから事業所得で控除しますが。

 

 

 

使えるとしたら、上記の経費が集中して発生した場合や、

営業担当者等が、交際費等込みで給与をもらっている場合など、使えるかもしれませんね。

 

2012年

7月

05日

分かりずらい減価償却


減価償却と聞いても


事業をやられている方や、経理マンでない限り、あまり耳慣れない言葉だと思います。

事業で使っている資産は、使用に応じて価値は減りますね。
新車から2年目の車と10年使った車の価値が同じだとおかしいですからね。

この減った価値を見積もって、減価償却費という経費とすることで、正しい期間損益を計算しましょうね。

ということですね。


この減価償却、
最近、改正が続いてまして、計算方法が5パターンとなってしまいました。

5種類の計算方法を使い分けなければならないんです。


1. 旧定額法
2. 定額法
3. 旧定率法
4. 250%定率法
5. 200%定率法


と、言っても今やコンピュータがやってくれるわけですが…

 

しかし、あまりコンピュータに頼りすぎますと、バージョンアップ忘れて間違えた処理をした事に気付かなかい事もあり得ますし、改正後の計算方法の変更については、お客様への説明責任がありますから、
私たち税理士はしっかり理解していないとなりません。

 


さて、本題です。

最近の改正について。

 

これは個人の場合は、減価償却の計算方法に敢えて「定率法を選択」している場合に限ります。

逆に法人は、定額法を選択している場合は関係ありません。

 

特に選択した記憶のない場合は、原則が定率法である法人のみが今回の改正の対象となります。

 

 

〈改正内容〉
平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産は、原則、200%定率法により償却することになりました。


今までの定率法は、250%定率法といわれている方法で、定額法の償却率を2.5倍した数を定率法の償却率とし、
一定の時期に償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算(均等償却)するというものです。


これが、200%定率法となったという事は、償却率が少なくなったということになります

ただし、耐用年数を通して償却できる償却累計額は、どちらも同じ金額です。


定率法は、取得した当初の償却額が一番多く、経過年数と共に償却額が減っていく。
という償却方法なのですが、その曲線が緩やかになるということですね。

 

定額法と定率法
定額法と定率法

 

<改正後>
減価償却資産の購入当初の償却額が、今までよりも減ることになりますね

決算対策で中古の外車を買おうと思われている方、ご注意を…

 

たとえば、300万円の中古車を買ったとしましょう。

中古の耐用年数が2年の場合は、改正後も償却率は変わりません。

なんと、償却率1.0 つまり1年目にして全額償却可能。(期中で買った場合は月割り計算)

 

しかし、中古の耐用年数が3年以降となりますと、改正後は変わってきます。

改正前が0.833 改正後が0.667

1年目の償却額は、改正前が2,499,000円  改正後が2,001,000円

 

といった感じになります。

 


ただ、この改正には二つの経過措置があります。

 

(1)平成24年4月1日を含む期については、平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産についても、いままで通り250%定率法で良い。

 

(2)平成24年4月1日を含む期の申告期限までに、届出をすれば、その進行期又は翌期から、250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、200%償却率で計算できる。

 

 

(2)は、事務処理の負担を減らすための措置のようですが、適用初年度は下記の注意が必要です。

 

 ① 250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、適用すること。(一部採用はだめ)

 ② 耐用年数の修正が必要です。

 ③ 均等償却をしている資産には適用ありません。

 

 

もう、この辺りで訳分かりませんよね。

なんて面倒な改正を・・

 

◎平成19年時の改正では、「国際競争力を高めるため」とありました。

日本では従来より残存価額が取得価額の5%(税法)と決められていましたが、国際的には残存価額が0円がほとんどらしく、日本も備忘記録1円残しで償却が可能となりました。

 

◎平成23年時の改正で、250%→200%定率法にした理由は、

「法人税法上の措置である減価償却制度の償却速度を主要国並みに見直す」とあります。

 

 平成19年時の改正で、一度にやる訳にはいかなかったのでしょうかね・・

2012年

6月

27日

子供がいる家庭にとっては・・・

ニュースは消費税増税の話題で持ちきりですが、 

子供がいる家庭では、消費税だけでなく、16歳未満の子供の扶養控除の廃止も大きな問題ですよね。 

 

これは、子供手当を給付する代わりに、16歳未満の子供の扶養控除を廃止しますよ。

という趣旨ですね。

 

平成23年度の確定申告の際に、

「扶養控除がなくなったのはキツイよ~」

というお客様が多かったのですが、

 

平成246月から、更に追い打ちをかけ、住民税についても扶養控除が廃止されたので、例年より住民税が高いと驚かれる方が多いです。

 

 

ただ、よく計算してみますと、年収600万円で子供1人の場合。

所得税と住民税の増税額は、合わせて109,000

児童手当は、少なくても年120,000円はもらっています。

 

だから、中所得層の方は、結果は変わらない。

低所得層の人は逆に収入は増えてるはず。

高所得層の人は、収入は減っていると思いますが、

減っていると言っても、最高税率40%の方だとしても、

所得税と住民税の増税額は、165,000

児童手当が年120,000円でしたら、その差は45,000円です(子供一人あたり)

高所得層にとっての45,000円ですから、そんなに大きな負担ではないかと思います。

まあ、当事者にとっては、1円でも増税されるのは嫌だと思いますけど。。

 

 

さて、この児童手当。

 

みなさんご存知のように、「こども手当」を止める止めないという話から、

結局は名称を「児童手当」に変えて、引き続き給付されることになりましたね。

 

給付内容は今までと同じ金額ですが、今までと違うのは根拠法律が違うというのと、

「所得制限」を設けたことです。

 

今までは「こども手当法」

これからは「児童手当法」

 

給付内容は、「こども手当」の時と同じですが、

平成246月から、一定の所得金額以上の人は原則「児童手当」は0円となります。

ただし、特例措置として当分の間、月5000円が支給されます。

 

この所得制限額は、前年の所得で判定します。

つまり、今年の児童手当については、平成23年の所得で判定ですね。

 

また、所得制限額は、「年収」ではありませんのでご注意を。

 

会社員の方は、「給与所得控除後の金額」-8万円

自営業者の方は、「事業所得の金額」-8万円

 

が、所得制限の判定に使われる金額です。

 

この「事業所得の金額」は、青色申告特別控除の65万(または10万)控除後の金額です。

         

「扶養人数0人」というのは、例えば平成24年2月に子供が生まれた場合、所得制限の判定は前年の所得で判定しますので、今年の児童手当ての所得制限の判定の扶養人数は「0人」ということになります。

 

共働きの場合の所得制限額は、

どちらか所得が大きい人で判断れます。

つまり、夫婦の所得は合算されません。

 

これが、どういう現象を起こすかというと、

たとえば、世帯の年収が1000万円で、子供1人のケースを見てみます。

1. 共働き夫婦で子供1人のケース

2. 夫のみ働き子供1人のケース

このケースだと、1の共働き世帯は「児童手当」をもらえますが、2の片働き世帯はもらえません。

(当分の間は特例措置により月5000円もらえます。)

 

おかしな話ですね。

収入が多い方が手当をもらえるんですから。

 

ただ、この逆転現象、世帯代表の年収(これは年収です)が下記の場合であれば、

所得制限に引っかからないのでご安心を。

 

子供1人→875万以下

子供2人→917万以下

子供3人→959万以下

 

 

 

「児童手当」により多少は収入増える世帯もあると思います。

しかし・・

 

これで、少子化対策になっているのでしょうか

 

所得関係なく、子供を産み、育てることに積極的になれるような制度になれば良いのだと思うのですが、今の制度だと、

低所得層はメリットあるかもしれませんが、手当の金額はたかが知れています。

高所得層は、子供がいることで逆に損をする。(子供は損得の問題ではありませんが…)

 

こんな微々たる金額で少子化対策になるのだろうか。

 

お金の問題だけではない気もしますが

 

この問題は、長くなりそうなので、

またの機会に書きたいと思います。。

 

 

<参考法令は下記>

2012年

6月

19日

年金+副収入の申告は?

年金受給者ではあるけれど、年金だけでは暮らしていけないと、少しだけ仕事をして年金の足しにしようと働いている方は結構いると思います。

この先、ますます増えるかもしれません。


この場合、年金以外の収入は申告しなければならないのでしょうか?

 

年金の収入金額により取り扱いが変わります。
なお、ここでいう年金は公的年金のことです。

 

 

年金以外の収入がある場合のフローチャート
年金以外の収入がある場合のフローチャート

年金以外の収入が給与であれば、難しいことはありません。

事業主側から「源泉徴収票」をもらえるからです。

 

しかし、給与以外の場合、つまり、

 「雇用契約」ではなく「請負契約」による収入である場合 がちょっと面倒ですね。

   

「雇用契約」であれば給与として、最低65万円の給与所得控除が認められていますが、

「請負契約」となった場合、実際かかった経費しか認められません。

(青色申告の場合は65万の控除ができますが、帳簿等の管理が必要となります。)

 

しかし、実質「雇用契約」と変わらないので、たいした経費もありません。

 

これは不公平では?

 

というわけで、

「家内労働者等の必要経費の特例」という規定が

租税特別措置法 第27条 にあります。

 

簡単に説明しますと、通常は、

収入ー必要経費=「事業所得」または「雑所得」として申告しますが、

「家内労働者等」に該当する人は、実際にかかった経費が65万円未満であっても、65万円を控除しても良いですよ。

 

という規定です。

 

 では、この特例を受けることが出来る人は、どのような方なのでしょうか?

 

租税特別措置法 第27条より、下記の方が特例対象者となります。

 

1.家内労働法に規定する家内労働者

2.外交員、集金人、電力量計の検針人

3.特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者

 

 

順に説明してみたいと思います。

 

<1>家内労働者とは?

 

(家内労働法 第2条第2項)

 

家内労働者とは、物品の製造、加工、改造、修理、洗浄、選別、包装、解体、販売又はこれらの請負を業とする者から、主として労働の代償を得るために、その業務の目的物たる物品について委託を受けて、物品の改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、解体に従事する者であって、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう

 

 いわゆる内職ですね 

 

<2>外交員、集金人、電力計量の検針人

 

 これは分かりますね。

 

 保険の外交員、NHKの集金人、

 電気メーターのチェックをしにきている主婦の方も、よくお見かけしますね。

 

<3>特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者

 

 クリーニングの取次業、写真現像焼付の取次業、損害保険代理店業、宅配便の取次業、

 シルバー人材センターが行う業務など

 

 が該当します。

 

 しかし、下記の者は不特定多数の者に対して役務の提供を行うので該当しません。

 

 学習塾経営者、弁理士など

 当然、税理士も入りますね。

 

 

上記に該当する方であっても、原則通り、実際かかった経費を計算して

「事業所得」または「雑所得」として申告しても当然良いのですが、

その処理が面倒だという方は、この特例使えるかもしれませんね。