社会保険の強制加入

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF03H09_T00C14A7MM8000/?dg=1


最近、社会保険に未加入の法人のお客様への調査が増えています。
法人である限り、社会保険は強制加入です。
(社会保険とは、健康保険と厚生年金のことです)

中小企業は加入していない会社が多いです。
なぜ未加入が多いのか。
それは、社会保険は、従業員と会社が2分の1ずつ保険料を負担するので、会社負担が増えてしまうから、資金繰り的に厳しい中小企業は未加入が多いのです。

今までは、未加入であっても、中小企業には特に厳しくなかった。
最近は、年金財源が足りないので調査に力を入れてきた。

そして、このニュース。

国税庁から中小企業の情報をもらって、強制加入させよう
という事らしい。

何のデータを貰うのか。

それは、従業員の源泉所得税の情報。

会社は、従業員に給与を払う際に、源泉所得税を徴収して、国に納めています。
従業員に代わって、従業員の所得税を預かって払っているわけですね。

年金事務所は、源泉所得税を納めている中小企業に問い合わせをかけるという事ですね。
「社会保険に加入してますか?」と。

源泉所得税を払っている時点で、社会保険に加入していないとおかしい訳です。本来は。

だから、そこで、
「加入してません」
と言ったら、当然に加入させられます。
「加入してます」
なんて嘘も当然バレてますから、加入せざろう得ない訳です。

では、社会保険の加入に強制力はあるのか?

健康保険法と厚生年金保険法の罰則規定に

「法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの」は適用事業所となり、適用事業所は届け出なければならない。
そして、その届け出をしないと、
「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」
とあります。

ですから、結局は未加入が分かった時点で加入させられます。
払うお金がないという言い分は通用しない訳です。

時効が2年なので、本来は2年を遡って加入させられるのですが、実務的には、その時からの加入でOKというケースしか私は知りません。


さて、問題なのは、強制加入させられて中小企業は資金繰りに詰まって、倒産してしまうのではないか…という心配。

または、社会保険に加入したくないから、社会保険に加入しなくても良いアルバイトなどの雇用しかしなくなる。
正社員を雇わなくなるとか…

そもそも、会社を設立しなくなるとか。

起業しやすくしよう!
法人税を安くしよう!

と政府は言ってはいますが、
その反面で社会保険に加入義務が生じるので、
気軽に会社設立とはいきませんよね。

今後は法人税の方が安くなる傾向だから会社設立しましょう♪なんて、気軽に言えませんね。

社会保険の負担も考えないとなりませんね。