タワーマンション節税について

 

平成29年の税制改正にて、タワーマンションの固定資産税の改正がありました。

 

「タワマン節税」と言われているタワーマンション購入による節税対策。

 

 

これは、相続税だけでなく、固定資産税、不動産取得税も節税になるという意味なのですが、今回、改正が入ったのは地方税である固定資産税。

 

税率は変わりなく、固定資産税評価額の計算方法が変わったので、固定資産税評価額を元に計算する不動産取得税にも影響が及びます。

 

 

では、相続税は?

 

というと、実は変わりません。

 

相続税の計算は、財産基本通達   に基づいて計算するのですが、その計算方法は下記となっています。(家屋のみの説明です)

    

(区分所有財産)

3 区分所有に係る財産の各部分の価額は、この通達の定めによって評価したその財産の価額を基とし、各部分の使用収益等の状況を勘案して計算した各部分に対応する価額によって評価する。

 

「使用収益等の状況を勘案」 とありますが、マンションの場合、所有者の占有面積で按分します。

 

つまり、

 

一棟の固定資産税評価額×占有面積=所有者の固定資産税評価額(A)

 

となります。

 

 

 (家屋の評価)

89 家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平16課評2-7外改正)

 

 

 所有者の占有面積で按分した上記Aの固定資産税評価額×1.0=相続税評価額

 

相続税は、あくまでも一棟の固定資産税評価額を占有面積で按分して、所有部分の固定資産税評価額を計算し、(倍率1.0を乗じて)相続税評価額とします。   

 

つまり、一棟当たりの固定資産税評価額が変わらない今回の改正は、相続税の計算には影響しないということになります。

 

 

今回の固定資産税の改正内容をおさらい。

<対象となるタワーマンション>

 

    1.平成29年1月2日以後に新築

 2.高さ60m超

 3.平成29年4月1日前に最初の売買契約が締結された人の居住用占有部分を有するものを除く

 

  

<改正された計算方法>

 

マンション一棟の固定資産税評価額は変わらず、階数ごとに占有床面積を調整して、階数が上がるほど固定資産税評価額が高くなるように改正。

 

 

具体的に見ていきます。

 

 改正前の固定資産税の計算>

 

一棟の固定資産税評価額×占有床面積=その所有者の固定資産税評価額(A)

 

A×1.4%=固定資産税(都市計画税除く )

 

 

<改正後の固定資産税の計算>

 

一棟の固定資産税評価額×調整後の占有床面積=固定資産税評価額(a)

 

1.4%=固定資産税(都市計画税除く )

 

 

要は床面積を修正することでフロアーごとの固定資産税評価額を変えるということです。

  

ということで、タワーマンションを利用した相続税の節税は、まだ有効だということになります。

しかし、当ブログでも以前書きましたが、度を過ぎた節税対策は、「財産基本通達6項」の適用をする旨の国税庁の見解を示しているので注意が必要です。

 

(この通達の定めにより難い場合の評価)

6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。